茨城県カーコーティング店 s-detail’s blog

茨城県 自動車ボディコーティング、ボディ磨き、車両美観の施工例

ヘッドライトフィニッシャーを採用しない理由

ヘッドライトフィニッシャーとは 

 「ヘッドライトフィニッシャー」とは武蔵ホルト(株)様から施工店、業務用向けヘッドライトリペア後の保護塗装商品になります。一般消費者・個人の方には販売は無いようです。形態はエアゾール(缶スプレー)

 詳細は公式HPで閲覧できますし、当記事には公式動画を貼っております。

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 ヘッドライトリペア後のイメージです ↑

※こちらの写真(BMW)は当店お客様の他のリぺア施工法によるものです。

 「ヘッドライトフィニッシャー」

メディアなどへの公開されている情報は、

  • 専用の二液性の硬化型塗料という事です→特にウレタン塗料とは謳っていません
  • 耐久期間2年→大げさな年数を謳っていません
  • 分厚い塗膜→一般的なコーティングと比較してという所を強調しています

  2019年5月現在当店調べでは施工採用や施工店への提案で目立つのは地方企業のディラーや自動車修理工場などへのリンクがある自動車整備商工組合経由等に思えます。また、別の情報としてはメーカーさんが施工店の募集、代理店の紹介等、展開はこれから徐々にという所でしょうか?未確認情報ですがメーカー又は代理店等からの商品資材調達になるとロットやケース販売のみの取り扱いというのも耳にします。

 

メリットやデメリット(当店が思う所)

 実際に使用していませんし、手にも取ってもいません。ですから使用感を正確に伝える事ではありませんのであしからず

 手元には施工手順書とQ&Aを用意しております。

 こちらの商品は業務用(市販は無し)という事で当店でも採用検討をしていました。一般の方が手軽に出来る商品でしたら当店では扱う意味がないというのも理由。新商品(信頼できる企業やメーカーさんの)でリペア作業に有利な資材など新しい商品にはアンテナを張り巡らしております。

 2019年、何故か缶スプレータイプのヘッドライト専用クリヤが2メーカーから発表されました。私見ですがスチーム系全般(ブランドやメーカーを指定しているものではありません)の半?得体のしれない物より信頼性や安全性があるという所です。一般DIYではなく当店の様な施工店は確実な物を求めています。

 という所から、有か?無か?と言われれば「アリ」です!
 しかし、こちらの商品を使用すると「仕上がり感」に多少影響が考えられます。
※当店の既存の施工方法(樹脂専用クリヤ塗装仕上げ)と比較

  何故かと言うと一目瞭然、缶スプレーVSスプレーガンでの塗装です。
ガンと缶スプレーでは性能に差があるのは当然の事ではないでしょうか?

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スプレーガン施工

 幾ら良い塗料でも噴霧性が違うのです。塗装後の仕上げ作業でリカバリーは可能かもしれませんが、リカバリーの為に塗装しているのではありません。最初からベストな塗装が出来るのであれば良い機材や材料に施工法を選びます。

 この商品「ヘッドライトフィニッシャー」を選択する理由を挙げれば、施工者(店)が比較的容易に作業できる点でしょうか。確かにスプレーガン塗装時には準備(2液性塗料調合、ガンの調整)や塗装後の洗浄や手間がかかりますしガン塗装への慣れも必要ですから、今現在この商品の施工店となる多くは整備工場などでガン吹きを行っていなかったという事です。本格的機材の準備が無くても良いという訳ですね。

 もう一点の重要問題は当店で多くを言う「研磨ありきです!!!」
 この業界の施工商品の多くは下地作業、下準備より仕上げ作業やその場合の商品を宣伝又は誇張する傾向が(笑)
 「ヘッドライトフィニッシャー」をこれから展開する業者さんは(今まで本格的なリペア未経験)研磨ありきというのが理解していらっしゃるのでしょうか?また、確実な研磨作業を遂行できるのでしょうか?余計な心配かもしれませんが、、、
 ただ、施工商品の出来次第で消費者(お客様)が満足できるのか?という所です。

 さて、参考までに


MH11600 ヘッドライトリフィニッシャー(Headlight Refinisher)

 

 メーカーさんの物にケチを付けたり批判するものではありません。公式で動画を公開しているので見る権利、思う権利、判断する権利もあります。特に攻撃的誹謗中傷ではありませんのでトラブル等の発展などへはご遠慮しますのと、訂正等がありましたら記事の修正を致します。施工店やお客様がお金を払って商品(施工)をするのですから、判断材料として客観的検証内容です。

➤商品は缶スプレー単品で2液硬化型スプレーです、塗料は高品質と予想されます。

 以下は動画から作業の現状です(現状の客観的に拝見した以外の当店からのコメントは記しません)

●研磨方法・・・ヘッドライト形状から輸入車VWゴルフと推測します。手磨きで指の腹で加圧して細かい運動による研磨。またヘッドライト外周のマスキングが一切見えません。

●塗装環境・・・屋外、後部にフェンスが見えるので駐車場でしょうか?そして強風、マスキングが風で靡いています。

塗装方法・・・ストローク回数や塗装回数、パターン塗り重ねの規則的工程が無い、又は判りずらい。

以上が当店の見たままの感想というか、感じ取れたことです。

 

➤当店のスプレーガンによる樹脂専用クリヤ塗装仕上げ

動画が用意できませんでしたがご了承ください。

●研磨方法・・・機械研磨を可能な限り行います。機械使用により確実性と平均に削るという事です。特に劣化が著しい物や輸入車の高硬度ヘッドライトは機械研磨でないと無理です。マスキングは精度を求めます、また、マスキングテープは2重、3重は当たり前。車両に傷を付ける事は許されないのです。研磨時間は2灯で平均5~6時間を要します。

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ヘッドライトのマスキング

●塗装環境・・・板金塗装ボディショップではありませんので、流石に塗装ブースはありません。しかしガレージ内で塗装を行います。風の影響はありませんし、繊細な作業や状態の確認には照明を照射しながら。当店ではヘッドライトリペア作業を屋外で行う事はありません。

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照明を使用し研磨痕や傷を確認

塗装方法・・・ミストへの防御の為車両全体をマスキング、ストローク回数、塗装回数、フラッシュタイム、強制乾燥、仕上げ磨きと工程多し。膜厚40~50μを吹き付ける為にはガン吹きでも垂れる寸前での数回に分けた塗装になる。

当店では考えられる作業工程、行わなければならない作業を全てですので、申し訳ありませんが完成まで時間を要します。

 

エッジ部の塗りは重要ポイントになる。

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ヘッドライトクリヤ塗装

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遠赤外線塗装ヒーターによる強制乾燥

まとめ

「ヘッドライトフィニッシャー」は良い商品と想像できます。
内容量150mlで2液性ですから使い切り、大きめの面積ヘッドライトで一台分。
使えるか使えないかは塗料の品質次第ですが、使いたい時に準備も必要なく吹く事が出来るのは魅力的です。

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ヘッドライトフィニッシャー

 ただ全体の作業の流れや工程は1~2時間、又はそれに近い総時間を想定されているようです。参考までに当店では施工開始後のマスキングでだけで30分程度かかってしまいます。どんなに効率よく作業してもです。時間をかければ良いという訳ではありませんが施工後の美観と耐久性を最大に発揮する作業は時間を要する物なのです。

 材料の一つだけで判断すれば良い商品なのですが、施工商品(加工や処理)というのは一連の正確な理論と技術工程が構築されていないといけないものです。

 その様な事から塗装でのリペア作業に対してハードルを下げた商品でしょうか?おそらく新規で施工を取り上げられる方(施工者)には間口を広げた事になるかもしれません。そして、消費者(お客様)のメリットとしては短時間施工と料金の低価格化でしょうか?→これにはデメリットとしては良い材料なのに美観や耐久性をガン吹き溶剤2液クリヤ塗装と比較すると性能面で劣るかもしれませんし、短時間のお預かりで研磨の正確性を考えると謎の施工といわれる可能性もあります。

 記事冒頭で記した通り従来の液状コーティング剤よりは膜厚が・・・と強調している通り。なのか「コーティング剤よりは良い」と捉える商品なのでしょうか?この商品の立ち位置が判りずらいというのも正直感じられます。

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ペイント缶

 上の画像は塗料の容器ですが容量などにより丸缶、各缶、他にもあります。必要な量に対して別途硬化剤を調合して使用します。スプレーガンで吹くタイプはメーカーの表示にも違いはありますが「塗装方法:エアスプレー」と記載があります。コンプレッサー使用でガン吹きですね。(画像は樹脂専用塗料ではありません)

 最初に必要量や調合とありますが、リペアしようとするレンズ面積と推奨膜厚量を計算。と実際に調合と用意する量は自分で計算できなければならないのです。更にガンの吐出やエア等調整も絡みますので缶スプレー等とは難易度は異なるのです。

 わざわざ難しい方を選ぶのかと? 簡単ですよね、仕上がりや完成度を求めるからですよ。そもそも、板金塗装屋さんが補修塗装をするのに缶スプレーでは塗らないでしょう(笑)

  缶スプレーで30~50μ(ホルツさんの推奨膜厚)を塗るには技術的に難易度があるよな~と思ったり、20μの許容範囲は?という疑問も多少あるよな~というのも気がかりです。

 推奨膜厚確保のヘッドライトのガン吹き50μを習得するのにかなり経験、練習、データ取りを積んだというワタクシです(汗)

 お客様がどうしてもこの商品でリペア施工して欲しいとなった場合、当店施工にこの材料を使用するとコストアップになりますので「ガン吹き樹脂専用クリヤ塗装仕上げ」より施工価格が高くなってしまいます。一缶(スプレー)で150mlという少量では単価が割高となってしまうのです。材料や資材等はロット数や一単位が多くなればなるほど単価が下がるのですね。少量は割高です!

 

 まとめになったのか?

 判りづらい表現や読みづらい所もあるかと思いますがご容赦ください。

 また、不明な点やリペア施工を検討中の方はお尋ねください。