今回も記事は研磨編と塗装編に二回に分けてとなります。
先ずはヘッドライト雑学から入っていきますので興味の無い方には退屈かもしれませんので申し訳ありません。
エスティマのヘッドライト劣化
車両はトヨタエスティマ、3代目になってからも経年劣化時のポリカーボネート素材(以下PC素材)特有の「白化現象」が発生します。ある一定の年代の製造時のヘッドライトレンズ特有の症状です。
通常のヘッドライトリペア作業や現象を御説明する場合、レンズ表面状の劣化と単純に考えますが、今回の車両の症状はPC素材の「白化現象」も含めて考慮しなければなりません。
「白化現象」とは? 簡単に言うと白く濁る、透明度が不足します(単純ですが)。単純な表面上の劣化と症状ではなく
申し訳ありませんこの後1,500文字数程度を書き込んだのですが、当店HPのヘッドライトリペアのページでリニューアル後に使用した方が良いと判断した為に削除致しました。
内容は、私が知っている限りでは他には見ない情報も含まれているので、今回は見送りました。下から文章のの繋がりに不自然さがあります事をご了承ください。
車種や劣化状況により程度の大小もありますので一概には言えない事も有ります。
この様な症状がある場合、リペア作業では復元に支障をきたす事も有ります。症状の可能性がある車種は、全てを網羅している訳ではありませんが施工歴の多さから独自のデータを保有や予測も可能です。詳細は限りが無いので程々にですが、、、
通常の研磨~仕上げ保護では一定のレベルしか透明度が出ません。それではどうすればよいの?という場合は施工方法を変える等、対策に期待できる方法もあります。
お客様は当店の幾通りかある施工法(仕上げ法)を御検討していただき、仕上がりに安定と長期耐久性のトータルで考えた結果「樹脂専用クリヤ塗装」方法を選択されました。その為、前述した「施工方法を変える等、対策に期待できる方法」は別の機会があれば別途御紹介を致します。
ここでレンズの内側、内部、表面、表層など部位的な表現があり、施工店や業者により表現方法などを記したりする場合があります。又、今回の「白く濁る、透明度」の現象をいつも通り研磨でガッツリ削ぎ落せばよい話ではないか?と思われる、捉える様な事もありますので整理してみましょう。
白化現象や内部の曇りと言ったら
ヘッドライトレンズの厚みというのはおよそ2.5㎜前後となります。
まず、「白化現象」と言ったら「ヘッドライトレンズ」(PC)その物自体を表します。その物とは?およそ2.5㎜程度の厚みのある素材自体の内部まで起こっている現象。その表面状だけの場合でしたら研磨で処理できます(通常施工作業法)。
試しにレンズを切断や重切削すれば何処を切っても金太郎飴の様に「白化現象」となっています。ですから、どれだけ研磨で処理しようとしても結果は同じです。復元をする意味では素材自体が傷んでいるので通常作業のハードコート層を含む表面上の処理では復元が難しい場合があります。
それから、他店で内部の曇り等の表現を用いますが、不親切や状況の判断力、現象の認識不足から判りずらかったり、誤解を招く様な事もあります。
当店では「レンズ内部」と表した場合はレンズ素材(PC)の中や自体を指します。
それとは別に「レンズ内側」と表した場合はレンズ裏側です。ライトバルブから照射されている部分の表面です(図のレンズ内側と指している所)
因みに経年が進むにつれ、又は車種的に比較的内側の曇りが発生する場合は、ヘッドライトリペアの作業では手を付けらえません。ヘッドライトの分解、殻割などが必要となります。ついでですが、内側の指触や耐溶剤性に於いては十分注意を払わないといけません。内側のハードコーティングは表側のコーティングとは全く違います。
メーカーの施工塗料(コーティング剤)の材料から施工法が違うので当店ではデリケートと認識しています。何故内側と表側が違うのといえば最大の理由はバルブから発生する紫外線対策の為となります。
その材料とは塗料と呼びます。用途別の正式名は機能性塗料といいます。種類によっては低温焼き付け、蒸着、UV硬化系など定着される素材によって分かれ、基本的に製造や工業材料です。それを定着、密着する技術、乾燥、再施工は一個人では不可能です。仮にその液体を付着したとしても正常に定着・機能もしません。ヘッドライト製造時はレンズ(部位的にはカバーとも称します)の処理をする会社があり、アニール処理から専用のPC用UV塗装、照射(注)をします。正確にはレンズやリフレクターなどパーツとして扱われ、それを組み立て加工しユニットが完成されていると思います。 (注)製造(レンズの)ですからライン上でロボットがメインで作業します。
トヨタ クラウン ヘッドライトリペア塗装編 - 茨城県カーコーティング店 s-detail’s blog
「白化現象」から多少逸れながら、話が長くなりましたがここまでにさせて頂きます。今回作業するにあたっては「白化現象」の影響で復元が難しい場合でも対応を致しません。対応する場合は最初から施工方法を変えるのみです。最初のオーダーで決まってしまいますのでお客様と確認、了承済みです。
劣化状況、研磨開始
実際に入庫したエスティマのヘッドライトは
劣化の状況は「もの凄く酷い」ではなく、かと言って良い訳ではなくと思います。そして、この状況から内部や裏側がどの様になっているのかは判りずらいのと、実際に研磨を進めてみないと判らない事となります。
屋内での見え方は白濁、黄ばみあり。目立つクラックも見えませんが微細な物は屋外で確認しています。
マスキング開始
クリアランスも良好です。ですが本来はヘッドライトを脱着に於いての施工を推奨します。
ただ一点ですがマスキング中に、下の写真の様な部分は気になりました。
ペイントが削れています。マスキング中はテープを正確に貼る事も重要ですが、バンパーやフェンダー部の補修が無いか?他に気になる様な事が無いか?他の部位への観察も必要です。偶々補修塗装が施されていて、粗悪塗装などではたかが和紙で出来ているマスキングテープの粘着力でも塗装が剥がれる例もあります。
これだけ(赤矢印部)を見れば一度、車両前方部の損傷歴があったのか?と疑ったり観察を続ける材料と捉えます。(結局施工後にお客様に確認をすると、ヘッドライトバルブ交換の為に脱着を行い傷が付いたことが判明)
研磨の状況
10年以上経過している車両ですから元々のハードコート層を突き破り劣化が進行していると考えます。屋外での現車確認時に太陽光の下では透かして見える劣化状況も見えます。
見た目よりも劣化はあると判断の上最初から深く研磨します。 いつも書きますがネット情報により粗い番手の初期研磨はペーパー目が残りそれを除去するのに大変と言われています。その時点でヘッドライトに何がしたい??のかが不明です。粒度の使用問題は何番を使用しても一切関係ありません。どれだけ削りたいか?除去の為研磨を行いたい為に適切な方法を行うだけです。
当店の使用する材料や粒度の選択は現在公表しておりません。2~3年前は全て公開していましたが、最近はものまね業者が沢山おられますのでダメですね。本来は当店を御利用検討されるお客様に施工方法をなるべく判り易くお伝えしたいのですが御理解をお願い致します。
↑ 初期研磨中、当然この時点で元々のハードコート層を剥離。
↑ 中間位の作業時かな?
↑ 研磨ペーパー使用最終後。ここまででサンダー使用は終了
闇雲にペーパーを使用するのではなく、目消しの連続作業ですから目的の研磨目に到達したらポリッシャーにバトンタッチです。
反対側ライトの画像ですがポリッシャーコンパウンド使用時。
画像に映ってしまいましたから説明を(汗)上部のマスキング上に何やら黒いマーキング? これは素材自体に見えた(ハードコート層を突き抜けて)クラックの除去をピンポイントで除去するのに印を付けた所です。マーキングから垂直に降りたレンズ面部に不具合があります。作業の詳細は言えませんが場所を明確にする為にマーキングという事です。
注意!! クラックについてですが、クラックの深度により区別をするのが正しいのかもしれません。
お客様への御説明には作業中や作業後となってしまいます(実際に研磨を行わないと判らない部分)
本作業中のクラック表現はハードコート層より下のPC素材中のクラックとなります。
簡単な施工例というのは無いに等しいかと思います。劣化が酷くなって皆さん持ち込まれる訳ですから(笑) 作業がスムーズにいかず何度も戻ったり、マーキングして細かい作業を繰り返しています。
ほぼ研磨作業が終了時に撮りました↓
多くの作業例がある当店の評価はこの時点で「白化現象」は有り。
しかし、多くの同様のエスティマの施工例から程度は良い方です。
研磨終了
研磨終了後の画像ですが屋内(ガレージ内)照明下では意外と良い状態に見えます。
太陽下、屋外、見る角度によりレンズの透明度もかなり変わる と思います。おそらく記事の最後にはその違いを参考までに見ていただけると思います(忘れなければ、汗)
この後の作業は塗装編として別記事に続きます。