旧車(希少車)となるフェアレデイZのボディ研磨とボディコーティングの御依頼を受けました。
お客様はWEBで検索され、茨城県に多数ある施工店(本格的専門店~簡易施工店)の中から当店をお選びいただきました。希少なお車の作業さて頂くにあたり大変光栄な事と感謝を申し上げます。(因みに詳細は×ですが1時間以上かかる遠方の方です)
御連絡を頂きまして、まずは現車を見て欲しいという事でした。ボディの現状、塗装の状態、これには今から40年以上の歴史(※1)があります。また、この車両を買われた動機、過去のユーザー様、車両の改造等の経歴もお聞きしておりました。
(※1)長い年月による使用、保管状況によりパーツの交換、塗装、補修等の意味。又はコンディションという意味。今回塗装を触る上で重要と神経を遣います。
概要
まず、こちらの車両ベースは逆輸入車になります。ダットサン(DATSUN)280Zとなります。申し訳ありませんのと、こちら(当店)の勝手な参照とさせて頂いて良いのですが、お客様のお話しと当店の資料、車体番号(型式)からS30の末期で”280Z”=L28と判明(※2)、1975~1978年時の車両とまで判りました。当然の事ですが車検証記載事項は数年前の国内での新規登録となっておりますので以前の経歴は判りません。また、詳細はお伝え出来ませんがE/G等も全く別物、世界に一台のオリジナルカーに近い内容となっております(旧車だけでも凄いのに、中身や内容がこれまた凄い!)
上の写真はFガラスですが、ワイパー傷がワイパー方向とは逆になっていますね。車両の各パネルなどは何度か交換されている形跡がありますが、おそらくガラスは当時の物と思われます。ガラスは純正ですが経年による傷が多くなっています。そして以前は左ハンドルという形跡があり、この車両は40年の流れの中でどの様に生きて来たかという想像すると何かワクワク♪しますね。
また、ガラスと現在のワイパー向き(右ハンドル仕様)の関係は、外部から見る限りでも違う車輌からカウルトップベンチレーターを交換されているのでしょう。何度も言いますが外部、内部共かなり手が入っています。ダッシュボードも改”ですが右ハンドル仕様です!
参考までにコーションプレート、打刻等はしっかり残っていますので、型式記号のみで右ハンドル、左ハンドルの判別も容易ですし搭載エンジンも判別可能です。そうすると輸出向け(北米市場)モデルの約9年間の変遷にL24、L26、L28搭載エンジンがあった事から、おおよその製造年まで絞られてきます。
(現車両のエンジンは換装済で上記のエンジンには当てはまらない)
余談ですが以前はUSから程度の良い物があれば逆輸入車として国内に入ってきましたが、現在はUSでも日本の旧車が人気ですね。多様な流通ルートなどにより、国内からUSに輸出されている物も多数。
更に、、、どうでも良い事ですがm(__)m
筆者(当店)自身も過去にZ”乗りでした!私自身は残念ながら今回の記事のS30型ではなく、次のモデルのS130型でしたが280ZTバールーフ(1980年)を当時所有していました!今から約35年前位ですかね(汗) 因みにこの2年前位には日産プリンスでアルバイトもしていたという過去が(笑)この時からディティーリング(当時はこの言葉は無かったというか、使われていなかった)の仕事をしていたという長~い経験(職歴)となります!
長い前置きでしたが、施工内容へ・・・
ウィンドウガラスコーティング
Fガラスの撥水コーティングを御依頼されました。
フロント、サイドに以前のオーナーさん(又は制作した業者さん)が貼っていたステッカーの剥離も承りました。そして、下地処理を行い撥水処理作業となります。但し、ガラスの状態が良いとは言えず(前述した経年傷)コーティングの性能が完全に発揮するかは疑問です。お客様にもこの辺は十分御説明を致しました。
注) 以前は当店でもガラス研磨を行っておりましたが、現在、特別な例やご要望、条件等が無い限り行っておりません。
ボディ磨き
まず、塗装状態は当時のオリジナル塗装(メーカー出荷時、新車塗装という)ではありません。全塗装(再塗装)車となります。車両のカスタム度、パーツの交換度等が半端ではない為、おそらく一旦バラバラにされていると思います。塗装も元のカラーが判らない位ですね。そして数パネルが後から再交換などもあるらしく、ソリッドブラックのパネルメタリックブラックのパネルとマチマチです。
そしてオリジナルパネルであればスチールですがFRPのパネルも混在。40年の歴史で塗装はどの程度加えられたのかも判りません。多少なりとも参考材料にする為、膜厚のチェックも行いました。
当店計測過去最高でした。厚ければよい訳ではありません、Over Flowに幹関しては計測不能です。過去の要因などは憶測では色々あるのですが、現状塗膜の割れ、剥がれ等はありません。
では、状態を見てみましょうか、
最初に現車確認を行った時に艶が無い塗装だなと感じていましたが、かなり”グルグル”傷状態でした。そして、塗装自体に多少不良があるという事です。以下の写真で白い斑点に見える大きい物(照明映り込み付近)はクリヤ中に入っているブツです。
塗りが悪かった、ブツ、ワキが多く、屋外ででも塗ったのかと疑う程の状態です。
(現状の見たままのコメントとなり失礼を致しますm(__)m)
レストアの経緯で何度も塗り重ねて来たか?それとも塗り回数が少ないにも関わらず悪い部分を覆うように重ねたかは憶測も難しい所です。オーバーフェンダーの取り付け方をみるとしっかりしたボディワークでしたが塗装が雑で残念で仕方ありません。
磨く方針としては全体の膜厚は判るものの、クリヤの膜厚も予想不能としますので様子を見ながら可能な限りの美観を復活させるとなります。
(”可能な限り”とは全てに於いて安全な範囲での研磨量。可能な限りガンガン磨いてしまうではありません)
研磨の実例です、
グルグルは消えていますね、この様なイメージで研磨を繰り返していきますが、再塗装状態への難しさ、研磨剤や機器のマッチングも合わず、そしてフロント部のロングノーズによる面積大。この部分だけでも半日以上かかりました(汗)
後部のトランク(バックドア)部は照明を当てなくても歪みが判る位。かなりパテが入っているようです。
塗色もこの部分はソリッドなのです。経年、又は仕様が変わる度にパーツも変わり塗装も近似色に合わせた感じもあります。パーツにより同じメタリックブラックでもそれぞれ合っていない調色もあるのです。これだけでもそれぞれ塗った時期が違うだろうと推測できますので全体を仕上げる意味では難易度が上がります。
という訳で、、、研磨中に撮った写真を数枚掲載しながら作業終了とします。
研磨機材も最適な物を選択するのに時間を要しました。また、パネル毎に塗装も違う状態なので、その都度全く違う機材を使うという変則的な作業でした。
ボディコーティングと完成
このZ"を作業している時期はまだ残暑厳しい時期でした。当店では新店舗建屋を建築中で作業ブースが殆ど完成という所で、コーティング作業は新ブースを使用したので写真を撮っている場所も違います。
ボディコーティング中は上の写真2枚ですね。
今回、親水性ボディガラスコーティングを選択されました。
約一週間程度お預かりしましての完成です!
光沢が増しているのですが、蛍光灯が真っ直ぐ映り込まないのは取り切れない傷、そして塗装面の平滑さが足りないからです。元々の鋼板に平滑さが無い、そこへ塗装を行っても粗さは出るのです。
屋外で見てみましょう!
まとめ
当時、私が若い頃には普通に走っている、見かける車種でした。今では希少ですし骨董価値も上がっています。貴重な車種への作業させていただき有難う御座いました。
お客様からの御注文内容をおさらいします。
注)磨きのハードコースとは研磨量の数値というより、研磨にかかる手法の多さや手間量を表します。
今回、お客様は遠方からの御来店等で代車貸出より、電車でのお帰りを望まれた為最寄りの駅まで送迎をさせて頂きました(最寄りといってもクルマで30分)
完成お渡し日には事前の御連絡相談により駅までお迎えに上がりました。
お客様からお預かり中にガレージの出し入れ、当店敷地内だけでしたが凄く乗りやすい車両でした。PWが無いだけで昔で言えばフル装備、AC(クーラーではない)、PSがあるだけで快適。
貴重なお車を大事にされて下さい、この度は有難う御座いました!!