以前ヘッドライトリペアされたお客様から再び御連絡。今度はボディ全体をキレイにしたいという御用命でした。電話で御予約を入れて頂き再度遠方から来ていただき有難う御座いました。
以前のヘッドライトリペア時から約一ヶ月程、正確には施工後約40日後に見るヘッドライトは、
施工後に使用時に点灯不具合があったらしく、御迷惑をお掛けしました。
こちらの車両はAFSの装置車両だったので取り扱いには十分注意はしていました。配光可変するのでユニット内で中身が動いているのは承知しておりました。但し作業中に大きな衝撃を与える事は無くても上下や横には動かす事になります。それが原因かは判りませんがASFに不具合が出た事に、お客様で対応していただき、何かの配線?等が外れていただけと仰っておられました。
車両情報
車両年式2008年(H20年)で施工時から13年程経過、塗装や樹脂部には経年相応の劣化や取り返しのつかないダメージを受けています。お客様はまだキレイにしながら乗り続けたいお気持ちもあり、先にヘッドライトリペアを行ったのも頷けます。
ボディカラーはチタニウムグレーパール(455)で濃いめのガンメタリックやグレーの濃いカラーに相当します。
そして、車をキレイにしたい、折角コーティングをかけるのだからの理由で、劣化による一部塗装剥がれを板金塗装屋さんへ依頼補修後に入庫されました。当店へ来られるお客様の特徴はこの様な方が大変多い傾向です。かなりの数を数えますが、当店のお見積りや現状確認には磨いてどうにかなるの可否、又は塗装状態の正確な判断を可能な限りお伝えするのは以前にも書いた通りです。
ここからは大きくは書きませんが、
元検査員、他に車両に関わる職務経験から塗装パネル、パネルの修復交換歴などをあらゆる角度から見ることが出来ます。
ボディ構成は塗装部以外に欧州車のSUVの奔り(先駆けて)ともいえる、ボディ一周を廻りこむ樹脂パーツも多く付属します。その為、今回は塗板と樹脂パーツの洗浄+専用コーティングも御依頼をお受け致しました。
各種洗浄
輸入車の場合、一般的に使用、お手入れされている例で多くは車両全体の鉄粉付着、固着、滞留されています。以前過去記事で一般的にホイールの鉄粉に目を向けがちですが、”タイヤにもかなりの量が刺さっていますよ”と書いた事があります。
輸入車は自身(車両)が撒き散らしたものを跳ね上げたり、浴びている訳ですから付着、そして軟らかい材質部には刺さってしまう訳です。
理論や考え方はこの様な事ですが、洗浄中に撮った写真を見ていきましょう。
まずはアルミホイールの洗浄、
そして、ボディ全体でも判り易い例は、
黄矢印部位の色味を見れば一目瞭然、赤味、茶味がかった汚れは刺さっている、固着していますので簡単には落とせません。
この様にならない事、防止するには日頃の洗車時に気を付ける、具体的に言うと除去剤の使用等ですね。
お見積りと現車確認時に状態を確認していたので、洗浄には準備をしていました。市販品にはない特殊溶剤で何度も洗浄を行いました。
洗浄のみで一日以上かかったのではないでしょうか?
サイドステップ廻りも凄い固着でした。ありとあらゆる部分から汚れ(鉄粉)が湧きだしてくる状況。
参考までに他のお客様の車両(輸入車)では、カウルトップやトランク内(廻り)の汚れは赤味を帯びていました。意外と気が付かない方が多いのが現状です。固着、こびり付く前に処方を施すのが宜しいかと思います。
例えばディーラーに整備点検や車検に出しても指摘やアドバイスは無い事でしょう。GSなどの洗車やコーティング?と称される施工も、決まりきった施工法の短時間、そんな汚れなどは閉じ込めてしまわれる事でしょう。
偶々この記事を読まれた方は、多少なりとも参考にされる事になれば幸いです。
ザックリとした言い方ですが、輸入車は一般のお客様のお手入れ方法としては通常の洗車+αが必要です。
※輸入車の鉄粉が多いなどの説明は割愛します、一般的にある情報通りです。
他の部位でもいくつか気になる所を洗浄、
洗浄を繰り返し(一度では決まらない)、何とか見られるようになりました。
黒い縁取り状態(shadowがあるように見える)、
↑洗浄中、これも一回では決まらずこの後何回かトライで終了。
次はルーフ後部に大きめの樹脂パネルがあり、変色と劣化、汚れの堆積。
特殊な洗浄液で反応させ、樹脂素材に浸透している汚れを浮かせつつ拭き取り、又は流す作業を繰り返したり、、、
素材の劣化による脱色と藻が染み込んでいた汚れとMIX状態でした。
あらゆる部位の洗浄はまだまだ続く訳でしたが、詳細はここまでにしましょう。
一つの作業は全てrepeatで大きく時間経過、二日目以降から次へ進みます。
塗面の下準備洗浄も行い状態も確認。
フードの端ですが状態はかなり曇っている感じです。照明の映り込みはハッキリしませんし、反射も鈍く透明度は悪いとなります。という事で本来の”チタングレーパール”の色味が出ている状況にはほど遠い事でしょう。簡単に言ってしまえば発色が悪いという事です。塗面を出来る限り正常化しなければ何も解決にはなりません。いわゆる、このまま何かを塗って、又は簡易的に作業を施しても(GS系の)艶が出る等は夢のまた夢。
次は研磨作業になります。
研磨作業
マスキングから実際に研磨作業へ入りました(※1)
定番の研磨前後から、
パールの粒子状もハッキリ表現されました。
上面は流石に陥没気味のシミ、デポジットは除去不可、又はある程度除去しても浸透して根幹の輪郭跡は強照明や強光線下、透か確認では見えるかもしれません。
いつもと違う状況などは、
マイクロポリッシャーの出番が多かったり、
ソリッド部の軟質塗膜の削れと、他多数・・・
又、普段は出番が多くは無い3ⅯのDCとFMCコンパウンドのブレンドを使用したり、
3M(肌調整の為に持っている)はどうでも良いが(今回研磨力だけ欲しい部分があった)、FMCは多くの場面でブレンド的に使用したりしますね。
研磨方法にはそれぞれ人により違うのですが、#出処が違う#というキーワードがあります。
いわゆるどこで学んで来たのか?経験を積んできたのか?
ディティーリングスクールでの即席業者はこれには含まれません。
塗装の磨きという分野では、使用する研磨剤に潤滑や研磨の効能を同時に要する場合ブレンドなども多く用いられます。何それ?という業者も必ずいるはず、知らなければそれはそれで幸せかもしれませんね。
何はともあれ塗板面積が大きくあれやこれやの長期戦で研磨終了。
あと一つ、入庫前に板金塗装にて数か所の補修は、リアバンパーには多少の跡が残っていましたので注意ですね。
※1
補修あり、経年車、の場合マスキングには注意が必要です。今回の車両は最低限のテープの貼り、糊の残留にも気を遣います。糊に関しては樹脂部の洗浄済みという事もあり成分が浸透するのを防ぐ事になります。ですから部位により研磨直前に貼る、研磨終了後は速やかに剥がすなど気を遣う事になります。
また、ヘッドライトのマスキングは一切貼らずが理想となります。リペアした(してなくても)ものへの貼付けには抵抗があります。糊跡は残さず脱脂でもすればいいだろう~、ではなく触らずが一番良いのです。何も付けず、もし付けたら残留物を残さないというのは重要です、その際には刺激をしない事。ポリカーボネート素材を保護、大事にするならば。
参考:車両用マスキングテープの主な粘着剤はアクリル系粘着剤になる。原料には石油から作られるとし、貼る側の素材により粘着力が悪い性質。また貼り付けに応じ”くっ付易い”糊跡は少ないと言われますが、対象物が素地、劣化、素材表面の浸透性がある場合、変色なども起こします。モールのゴムに中、長時間(期間)貼っておくと素材の変色が生じる例は判り易い事になります。
上の写真を見てどういう風に思いますか?これは単品ですが車両に付いた状態で磨きやコーティングに出した時にどう思いますか?
ヘッドライトを傷つけない様に、しっかり保護してくれてる?
ではありません。ただのパフォーマンスにしか映りません。(特殊な事情時は例外です)
ヘッドライトレンズに対しても気を遣うのであれば、こんなにペタペタとテープ貼られたら悲しくなります。
ボディパネル研磨の際にヘッドライトレンズを保護するつもりでなのかもしれませんが?そんなにポリッシャーを振り回す様な(例えば野球のバットスイングみたいな?)研磨を行うのでしょうか?それとも何か特殊な大きなモーションなどもあるのでしょうか?それであれば私本人はスノーボードインストラクター有資格者です。スポーツなどではフォームやモーションの基本に忠実性やいわゆる型(かた)には理解は出来ますが(笑)初心者さんや変な癖の矯正には基本姿勢の重要性などもレクチャーしますね。
話が伸びてきましたが、ヘッドライトを(も)大事にするなら全面張りはしませんね。
(完全100%否定はしません、相当の特殊な理由等があれば何よりも保護優先)
この様な業者を見かけたら(見かけちゃったら)要注意です!
気合が入り過ぎているのかパフォーマンスなのか、何をやっているのか理解度不明。
因みに画像のヘッドライトの例は当店のサンプル廃品ヘッドライトですのでお客様からお預かり品ではありません。
ボディコーティング
研磨終了後、ボディコーティングを施工します。
脱脂はW(ダブル)処方で研磨紛も洗い流してあります。
コーティング中は写真は少ないのであしからず、
樹脂パーツコーティング
入庫後に各種洗浄で蓄積した汚れと鉄粉を落とした所へ、専用のコーティング剤を施工します。十何年分の汚れから、とじ込まれていて落としきれないものもあり、そして劣化している樹脂表面の為、素材として状態が良くありません。
緑矢印方向へ施工中、変化が判るかもしれません。
決していやらしい艶ではなく、自然な感じに納まります。
樹脂パーツの専用コーティングの注意点があります。
◙何年持つ?等は正確には判りません。数ヶ月で元通りというのはありませんが、ガラス成分からなるもので高耐久性です。何年も持続しているお客様も居られます。
◙樹脂の劣化状況によりコーティング効果、艶復元力も異なります。
◙樹脂素材の微妙な質感(自動車メーカー、車種等)により、効果も異なります。表面の浸透性や定着にもかなり違いが生じます。
◙施工後の使用、保管、などでも耐久性の違い、又、元々劣化が著しく進んでいたものは再劣化や戻りも早い事になります(上記の素材の質感などと関係が深く、全ての条件、組み合わせが悪い場合もある)この場合思ったより効果が見込めない場合があります。
例:当店の代車などに良い例があります(良くはない、笑)
上記の注意点に御理解の上、御利用下さい。
また、不明な点はお見積り御相談時にお問い合わせ下さい。
完成
今回は書きたい事が沢山ありましたので、長文となり申し訳ありませんでした。
それでは完成とさせて頂きます。
マフラー出口は気になったので軽く洗浄、メッキの輝きも出ましたね。
極めつけはヘッドライト?
御注文内容を整理しますと、
ボディ研磨ハードコース=洗浄メイン
ボディコーティング=Hard Barrier X-OVER
樹脂パーツ専用コーティング=各部位をまとめて、そして洗浄込み
となりました。(ヘッドライトは一カ月程度前にリペア済み)
全体の完成度を見ると不完全な所もある事はご承知いただきたいと思います。
お客様には大変失礼となりますが、もし、今後美観の維持に関しては今までのお手入れ方法に+αで対応と御協力をお願いいただきたいと思います。
遠方からの御来店とお仕事の関係から一週間のお預かりとなりました。
御利用を有難う御座いました。