茨城県カーコーティング店 s-detail’s blog

茨城県 自動車ボディコーティング、ボディ磨き、車両美観の施工例

A社様提供 業務用樹脂専用保護剤 

業種:業界最大手(創業70年以上)化学メーカーA社様の業務用、市販品の販売前テストサンプルの使用した内容となります。テスト車両は当店代車に使用しているホンダライフとなります。

業務用樹脂専用保護剤

施工車両の御紹介ではなく、資材・材料のテスト施工となります。企業様に関しては重要機密の為詳細を書く事は出来ません。非常に地味な内容と文章文字数が多くなり面白みに欠ける事となってしまうかもしれません。

当店の業務案内

ボディコーティング、ボディ研磨を主に、一般のお客様の車両を直接お預かりして施工させていただくのが大原則になります。施工の御相談などをお客様と直接やり取り致します。

そして、今回の記事のメイン内容の事になりますが、大手ケミカルメーカー様などからも支援を受けたり、販売前テストサンプル商品の試用などにより、意見を申し上げたりと裏でコソコソではありませんが、私的には微力ではありますがメーカーさんから依頼等をお受けしています。
正確な理論を基に、、、や、色々ありますが、反対に言えばデタラメや適当な事、浅い知識を述べても誰も近寄っては来ません。
また、最近では自動車製造メーカー様(街の販売店ディーラーではない)が、あれやこれやと写真を撮っていったり、私が書いた車両情報をお持ち帰り頂いたり・・・と。自動車製造メーカーへ私の書き込んだ状態票が・・・(笑)

等々が御座います。

私の力が大いにあるとは一欠片(ひとかけら)も思ってもいませんが、講釈を打った場合にそれを受け止めてくたり、喰いついてこられる大手さんも少なくはありません(笑)

対象商品と対象部位

冒頭に記した通りA社様から御提供を受けた樹脂専用保護剤(正式なコードネームは㊙)をサンプル使用(試用)しました。
アフターマーケットと同時に自動車メーカーへの供給を手掛けるメーカーさんなので、正式に採用されると自動車メーカー純正番号も入る可能性やそれらを目指して開発を行っています。
※施工は二回目となります(初回は他車両を含む2台へ行っています)
※二回目という事で再度レポート(記事)を記しておこうと書いています
樹脂部の劣化品に照準を合わせた開発中のコート剤、劣化した部分に最適という事で当店の経年車両の樹脂部位へ施工させていただきました。
詳細が判るようには製品を”コレが!”と、お見せする事は出来ませんが、施工法もレクチャーして頂き、多少の特殊性があるというのは判りました。

㊟ 劣化復元作業と保護剤の話は本来二つに分けるべきです。A社様から御提供いただいた保護剤を塗っただけでは劣化部を復元は出来ません。保護剤は復元作業を行った部位を長期保護する機能を持ち、復元する能力は持ち合わせていません。
ですから、保護する前の復元作業を行うには施工者の技術やセンス、感覚、経験からとなります。この様な技術などは正式な方法などは無く、どれが正解、完璧な方式も決まってはいない事です。

A社様開発中サンプル保護剤

容器から判る様に大気中の酸素や水分に反応させて硬化、、、、、
させるタイプではありません。シビアな溶剤であれば最初からガラス瓶容器に充填されますね。
こちらのメーカーさんはガラス質に変化や処方させたものには偏ってはいません。しかし、施工後などの定着、保護には他のメーカーさんの物と比較しても何も劣る所はありません。
また、容器の所で触れましたが、蓋の開閉や閉め忘れに注意すれば然程シビアにならなくても良いし、何よりも扱いがし易いというのは大きなメリットです(施工者目線ですが)

肝心の車両の施工箇所は具体的に言うとドアベルトモールです。
通常、まだ劣化していないモールの例は、

アベルトモール

↑ 他車種高年式ですが目視では劣化が確認出来ない状態です。
(一般的に新車時から数年程度は上の様な状態ですね)

アベルトモールとは?

簡単に言うとドアと窓ガラスの境についているモールになります。多くは樹脂製であり黒色の仕様で各メーカー車種により、硬度や質感にも違いがあります。車種によってはメタル(メッキ)などの加飾されているものもあります。この部位の役目としては窓ガラスとの隙間を塞いでいます。別名水切りモールとも言われ水分や汚れなどの侵入を防いでいます。

美観の観点から復元

樹脂部品なので経年による劣化は避けられません。樹脂素材の黒々とした表情や多少艶消し感のある素材特有の質感が失われていきます。
これらの劣化ダメージを一新される場合は、新品パーツの交換になります。車種により部品代にも上下がありますが、予算の許す方には一番手っ取り早い方法になります。
今回の対処方法はあくまでも交換は行わない、劣化除去と経年保護という形になります。
どちらかというとレストア目的、再生目的でしょうか。再生という事はあくまでも部品交換を行わない、部品交換しようとしても廃盤などのメーカー供給が終了している場合などの現状部品再生の目的になります。また、中古車販売業務など時に必ず出てくる壊れているものは交換になります、劣化品に関しては一部再生やリペア仕上げにもなります。私の経験上の業務などから大手自動車業務では中古車商品化というジャンルになりますが、その流れ的に化学薬品メーカー様の試供を数社受けています。

かなり前置きが長くなっていますが、今回施工作業する現車に付いている物を見てみましょう。

テスト車両は代車にしている低年式ホンダライフ

アベルトモールの劣化

画像はフロント右側のドアのサイドミラー前の短い部分です。状態は黒色ではなく白化しているという表現が当てはまるでしょうか。
先にも述べた様に各自動車メーカー車種により硬度や質感に違いがあります。該当のホンダ車は若干ゴムに近い様な微妙な軟らかさもあり、一見堅そうで軟らかめ的な特徴があります。先に行ってしまえば施工商品の開発さんからの御説明では、トヨタ車をメインに照準を合わせていますので最終仕上がり感に影響が出てもおかしくはないという事です。

劣化復元作業

劣化した物の復元には多種多様な方法があります。
例を挙げてみれば、

①表面そのままで保護剤を直に塗る(劣化素材に吸着により保護剤の艶を得る、頼る)

②表面を削ってみる(メラニンスポンジで摩る、バーナー等で炙るなど)

市販品などを利用して一般の方が行うのが①でしょうか。②は多少の加工をしたい、世の中の流れからか動画共有サイトやネット情報による・・・という所でしょうか。劣化した表面を再生したい②は一つの手段ではありますが、中途半端やアバウト(大雑把な)という所で個人のDIY程度で宜しいかと思います。

今回試用させていただく保護剤は劣化部表面をワンサイディングを行い保護剤で硬化させるものです。具体的には#2000ペーパー(ドライ指定)研磨で劣化除去と多少足付け的な意味合いという事になります。
メーカーさんの思惑や考えている意味は大手自動車メーカーに採用されるには超短時間作業の効率化などに対応させる為なんです。作業は一秒単位、このA社様も既存の資材と作業と新しい資材では実作業には何分何秒違うというデータ表示を行ってきます。使用する現場が試してタイムを出すのではなく、資材を開発段階からA社様の様なメーカーは全て想定しながら提案してくるのです。私は以前販社在職中にその様なデモやプレゼンテーションを実際に体験しましたが、本当、お見事で資料もレベルの高い物が用意されるし、見やすい、理解しやすいし、意見を聞いてくれたり、それをしっかり持ち帰り短期間で次の提案が返ってきますね(こうなってくると仕事も非常に楽しい事になります、多忙にはなりますが)

という訳で当店では#60番からサンディングを行います。徐々に番手は大きく目消しを行いますが、番手飛ばしなのか、飛ばさないのかは状況次第となります。そして、劣化品のダメージ具合や素材の特徴を判断してとなります、その為、絶対にこの番手~という訳ではないという事です。

ではマスキングから、

アベルトモールの研磨前

今回は外さない方式を選びました。

アベルトモールの研磨前

近くで見ると↑こんな感じです。

ドア一枚分の一本の中間位で途中経過として写真を撮ってみました、

研磨中

↑ 右手の方はまだ白く研磨中です。

このあと途中の写真はありませんが#2500での研磨。

#2500の研磨

更にここからペーパー粒度番手を上げていきます。
素材の特徴や、仕上がり具合により最終的にペーパー研磨から研磨剤(コンパウンド)の使用もあり(トヨタ車の場合はこの手法が多い)
それで一本目が研磨終了、

研磨後

研磨終了

↑ 出来上がりは特に艶が出るもなく、印象を言えば「自然な感じのプラスチック樹脂」「多少弾力性のあるゴムの様な感触」の様な感じです。劣化による素材の硬直感が多少和らぎますね。
この研磨には変な小細工は必要は無し、素材の素を引き出せばOKなのと、仕上げに用いる保護剤の足付け状態になる様にするだけ。
全本研磨は終わりませんが記事編集の都合上この後に保護剤の塗布仕上げに行きます。
※劣化状況により復元にも限界がある場合は多々あります。完全な物を求めるならば新品への交換が最善の方法です。

保護剤塗布作業

保護剤を塗る前に大事な作業があります。
保護剤の定着に最善な方法を取ります、それは洗浄~脱脂作業になります。
洗浄には研磨粉の除去を重視、特殊な脱脂剤(市販は一切されない)を用います。アルコールやシリコンオフなどは使用する事はありません、素材に安全且つ正確性を求められる事です。
洗浄や脱脂に十分に時間を取り、乾燥にも時間を掛けます。特に良く洗ったつもりでも研磨粉が”だま”(研磨摩擦により粉状のものが固まってしまう)になって付着していたり、モールとガラス間に挟まっている場合もあります。エアブローも十分に行います。

エアブロー作業

書かなくてもお判りになると思いますが、研磨粉の残留があると保護剤を塗った時に一緒に閉じ込めてしまう可能性もあります。

十分な準備が出来ましたらいよいよ保護剤の塗布になります。

保護剤の小分け

保護剤は最初から入っていた容器から必要分だけ小分けします。
小話となりますが、大きなボトルをそのまま使用している写真を見たりします(ネット上で)、例えばボディ塗装研磨時にコンパウンドをそのまま持っている(使用している)、コンパウンドなんかは多くは500ml~750ml、1000mlなんかもあったかな?一台磨いても全容量は使わないし、そもそも使用時に蓋を開けっ放しや、開閉してもその頻度を多くするのは良い事とは言えないですね。それ以前に500ml~ある容器は作業上邪魔となります。他の溶剤なども全部同様の考えで使用しなくてはなりません。使用する材料云々ではなくその使用方法や振る舞いで気質の違いや判断も可能かもしれませんね。まあ、言いすぎかもしれませんが素人さんが業務用の大ボトルを振り回している状況と何ら変わりませんね。
再度脱線しましたが、塗布します!

樹脂保護剤の塗布

樹脂保護剤の塗布

写真の通りテカテカというか多く塗ります。
垂れる寸前ギリギリ位まで塗ります。
そして、キッチリ拭き取りを行います。

樹脂保護

塗布には小さく切ったスポンジや細部の際(キワ)部には筆を使用する事もあります。キッチリ塗らなくてはなりませんが、細部まで塗った事による拭き取りは非常に大事になります。拭き取りが甘くなればそれは斑(ムラ)となりますので仕上がり感に影響します。

塗布回数は2回~3回程度(研磨後の下地状況次第)、拭き取ってみて問題が無ければ終了で暫く放置(乾燥)
逆に問題があった場合とは?
斑が生じたり、黒味感の不自然さなど、色々なパターンがありますが、問題ありの場合一旦作業を戻す事になります。研磨まで戻るのか、再塗布なのかはその都度状況次第となります。

完成

まずは進行都合上の為、前後ドアのモールを施工済み、施工後と別けました(違いを確認する意味合い)

ベルトモール劣化復元

ベルトモール劣化復元

最後に後日ですが車両の左右での違いを検証、

未作業の劣化したベルトモール 車両左側

劣化復元完成後

劣化復元完成後

劣化復元完成後

以上お疲れさまでした。
長らく読まれた方には大変ご苦労様でした。

このサンプルで何年維持出来る事でしょうか?
比較的高耐久というのは検証済みですが、この様な新品部品を購入しなくても良い車両には都合の良い施工商品となります。

追記:長文により文章に不具合や誤字脱字、誤解を与える文言や表現もあるかもしれません。その際は後日改文や訂正をさせて頂きます。
こちらで御紹介したテストサンプル剤をベースに現在スペック等(市販品対応スケールダウン)、扱いやすさ等を何度も改善(当然研磨等は不要)、応用され市販品として販売、本採用品は何度も改良され自動車メーカー純正扱いになった様です。