茨城県カーコーティング店 s-detail’s blog

茨城県 自動車ボディコーティング、ボディ磨き、車両美観の施工例

台風15号被害 トヨタ エスティマ施工 ヘッドライトリペア編

9月の台風15号による被害によりヘッドライトレンズ、ボディパネルが数か所損傷されました。
ヘッドライトは以前当店でリペア済でしたが強風により飛ばされてきた物で傷が、また、フェンダー等の塗装にも傷が付いてしまったそうです。

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トヨタ エスティマ

 

 ヘッドライトリペア

経緯

2年2カ月前に当店でヘッドライトリペア(樹脂専用クリヤ塗装)を行っております。
今回経年相応の劣化は見えるものの、再施工する程の劣化とは言えないと判断します。
劣化の見え方、施工後の再劣化が進み「何年持った」「持たなかった」等の判断や基準、感覚は個人差がありますので参考程度で捉えていただければ宜しいかと思います。

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劣化部

エッジ部(特に赤線部分)は黄ばみ、くすみはあるようです。全体の透明度も多少濁り感は見られます。しかし、内部のバルブが全く見えなくなる様な感じではなく微妙といえば微妙です。

今回持ち込まれた経緯は、駐車時に台風時の強風でカーポートの屋根部が飛来してきてヘッドライトに傷が入ったという事です。この傷を修正できないか?という御相談でした。

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レンズ表面の傷

↑ 傷の状況を撮って見たのですが、上手く画像に捉えられませんでしたm(__)m

 

施工方法

当店の樹脂専用クリヤ塗装施工済みの対応としましては2通り方法があります。
①対象部分のみをスポットで補修が出来ます。
②一からやり直し、再施工を行います。

今回は②の方法です。
理由は2年2ヶ月経過している為、劣化が進行しているのでスポットで補修しても廻りから直ぐ劣化が進行してしまう可能性があるからです。もし施工直後や日数が僅かであればスポットで補修も可能です(現状確認や相談の上となります)
因みに参考までにエアスプレーガンではなく、エアブラシでの施工となります。エアブラシ??と思われる方がいらっしゃるでしょうか?これは日本の最大手自動車メーカーでの正式にある施工方法です。
正しい事を行っている当店は他の施工店とは違うというのがこういう所です。

前回施工、症状の特徴

さて、前回施工時や特徴等を御説明をします。
こちらの型式 (年代、モデル)は白化現象で良く起こる車両です。
前回施工時にはその現象を確認しておりますのでいわゆる「パリッと透明感」は期待できません(他の車種等と比較して)
そして、当時施工中に内部の曇り現象も出ていますので、失礼な表現ですが「ダブルパンチ」となってしまいます。
以前施工時に内部の曇りを確認した時の写真はこちら↓

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ヘッドライトの内側の曇り

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ヘッドライトの内側の曇り

レンズ層の白化とレンズ内側の曇りは別々に考えなくてはなりません。また、これらの現象を施工時に判断、お客様に正確にご報告する事も仕事の一つといえるでしょう。
施工後に今一つの出来上がりで、一緒くた(いっしょくた)に「曇っています」と言うのでは素人さんレベルとなってしまいます。

白化は樹脂(ポリカーボネート)の素材性質、内側はライトユニットの構造や密閉度の問題等があります。
白化は補正方法もあり(リスク、弊害もあり)、内側は当然ながら分解等でもしないと無理となります。この様な現象が起こりやすい車種等も把握しているのは当店の特徴です。

再施工(樹脂専用クリヤ塗装)

まずはマスキング作業。

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研磨の為のマスキング

マスキングを開始するにあたって注意点があります(これはかなり重要で作業の中止もあり得る事) ※後で御説明を致します 

細心の注意を払い研磨作業に入ります。

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劣化したヘッドライトの研磨

今回は元々あるハードコート層ではなく、当店前施工の私自身が施したハードコート層を研磨。
これは、塗料メーカーの硬度表示がありますが研磨に影響する程の硬度はありません。決して軟らかいというレベルではありませんが、輸入車の高硬度程ではありません。おそらく柔らか過ぎると耐傷性にも問題が生じるかと思います。
製品のハードコート層は通常の作業、今回の作業は多くはありませんが作業上多少難易度が上がります。
当店では勘や自己流のレベルでは作業を致しません。
自身が塗って仕上げたハードコート層は塗料メーカーの推奨する膜厚を基準としています。再施工時研磨にはこれが意外と手間が掛かるのです。
標準レベルとは言えしっかり膜厚がありますので、研磨時間が掛かります(汗)

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残存するハードコート層の確認

判りますかね??

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残存するハードコート層の確認

残する部分と全除去(剥離)した部分の境が見て判ります(黄丸部はまだ残っている)
キチンと塗られていてホッとするのと、時間を要する為疲れてきます(笑)
本来であれば時間=手間が掛かりますので値上げしたい所ですm(__)m

さて、研磨が進み、

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研磨中

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研磨終了

ペーパー研磨終了、

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ポリッシャーコンパウンドによる研磨。

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研磨の全行程が終了です。既に再マスキングしていますが、、、

片側ライトの研磨時間はこの車両で3時間30分です。研磨前のマスキング等は10分程度含。要するに両側2灯の研磨時間は7時間となります。


この段階で素の状態です。この状態も危険、又は取り扱い注意です。
おそらく他店でここまで説明をしているのは多くは無いはず。
樹脂(ポリカーボネート)素材そのもの、素の状態ですから傷が入りやすいので極力触らない・・・様な。

しかし脱脂作業がありますが、当然脱脂等の拭き取りにはマイクロファイバータオルで、、、は×です。
当店では傷が極力入らない特殊な○○○を使用しています。

いよいよ塗装です!

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ヘッドライト塗装

数回に分けて塗装施して終了。
規程のセッティング時間後強制乾燥します。
※セッティングとは・・・塗装後に一定の時間の常温中に溶剤を飛ばす蒸発させる事

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強制乾燥

乾燥後に仕上げ作業を行います。

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レンズの透明度

仕上げ作業の詳細は省略します、↑ レンズの透明度を確認する為この様な近接での写真を撮ってみました。白化と内部の曇りがある為「パリっと感」はありません。

ヘッドライトの完成写真は最後の方で・・・

重要な注意事項

マスキングをするにあたっての・・・という所での重要事項をお知らせします。
お見積りや現車確認の際にオーナー様に問診を行い、現車での確認も行っているのがF廻りの塗装等の補修歴の有無です。

対象場所はバンパーカバー、ラジエターグリル、フェンダー等です。要はヘッドライトに隣接する場所。
何故かというとヘッドライトに塗装を行う上でマスキングテープ糊、研磨時の強振動・摩擦、塗装に含まれる溶剤による影響等で補修塗装に損傷を与える事や剥離現象を起こす可能性が高い為となります。
補修塗装とは新車塗装(製造ライン塗装)とは違い、一定の外的要因で損傷剥離する事も大いにあるのです。特にバンパー等の樹脂素材の塗装は確率が上がります。

粗悪塗装、廉価塗装は一番要注意で、しっかりした塗装でも経年により劣化している場合も考えられますので注意をしています。ボディ研磨時でも十分考えられる事で、マスキングテープを剥がしたら糊と一緒に塗装が剥がれてきたという事は多くある事です。

この様な場合は基本的にヘッドライトのリペアをお断り、中止をする場合がありますのでご注意下さい。

今回、前回施工時にお客様と確認をしてありましたが、作業中に中止をするかしないか大変悩みました。

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バンパーの塗装剝がれ

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バンパーの塗装剝がれ

ヘッドライト廻りに剥がれがあり、ここにマスキングテープを貼ると、剥がすときに塗装も一緒に剥がれます。じゃぁ~これはどうしたの?と聞かれれば裏技を使いました(汗) テープを貼ったけど貼らない(?)という荒業です。施工台数と歴が豊富な為、引き出しの奥にある技が数え切れない位あるのです。申し訳ありませんがディティーリングの講習を数日受けて開店した様なショップではありません(県内には数店ありますので注意が必要です)


今回、かなり支障があり難しい作業でした。そして一番神経を遣ったという事です。
この様に既に剥がれが生じていれば判り易いのですが、補修歴があるだけでも可能性が有りますので用心には用心を重ねます。

自分のは大丈夫と過信せず、判断等は当店に委ねていただけます様お願い致します。また、不明な点や詳細もお尋ね下さい。

これらは他店では言わない、そんなの関係ね~、無知等色々ありますが、当店のリペアは最大の作業を行う為、ヘッドライト廻りへ外的要因による影響を与えてしまうのを御理解下さい。ヘッドライトのリペアに正確理論による作業を行う為に起こる注意点です。細心の注意、安全、安心、”ヘッドライトをリペアするのに他の部分を壊してしまったら元も子もない”でしょう・・・という所です。

現在のヘッドライトリペアのスタンダードはヘッドライトを脱着による単体施工。F廻りの形状複雑化、レンズデザインの複雑化による機械研磨が不可能の車両も多くなってきています。もし単体での施工であればエッジ部(キワ、裏側分も含む)のリペア精度、塗装強度も上がり美観や耐久性にも期待が持てます。さらに作業手間が減少する分、作業価格が僅かですが低くなります。

大変難しい問題や大儀と捉えて発信していますが、一番の目的はヘッドライトリペアの精度を上げる、という所になります。

御理解と御協力をお願い申し上げます。

 

文章のまとまりが悪くヘッドライトリペアの完成、ボディパネルの作業等は別記事で更新と致します。