茨城県カーコーティング店 s-detail’s blog

茨城県 自動車ボディコーティング、ボディ磨き、車両美観の施工例

スズキ ジムニー シエラ 新車ボディコーティング

新車のスズキジムニーシエラのボディコーティングを施工させていただきました。今回は少々難儀な作業内容となりました。

ジムニーシエラ 新車施工

 

はじめに

まずは新車という事ですが、お客様は納車までに何と1年8か月を待たれたそうです。待ちに待ったという所ですが、当店からの距離、お住まいは比較的遠方で約一時間ほど。わざわざ遠方から当店を御指名いただき有難う御座います。

今回施工の面で先にお話をさせていただくと、内容的には一種のトラブル案件*1にもなった感じがします。お客様には大変失礼と申し訳ありませんが施工内容を御紹介させていただきます。依ってこの記事のメインはそのトラブル内容と処置法となります。

※お客様にはブログ御紹介を快く承諾を頂いております、文中失礼の無いよう気を付けさせていただきます。

御予約と経緯

まずは納車前にお電話で一報をいただき、遠方なども考慮し納車前という事で仮予約という形を取らせていただきました。

ジムニーシエラ 新車施工

他にも数ヶ月~お待ち頂いている方もいらっしゃいますし優先順番も考慮、その後の納車日確定の知らせを待ちながら調整させていただきました。その際には他のお客様にも御協力をいただき大変有難う御座いました。皆様の御協力の下成り立っていますので感謝しかありません。

※どうしても納車日がバッティングしてしまう場合があります、土日、又は縁起の良い日などは致し方ありません。そのような事から予約等は早めに入れていただくのが当店からのお願いです。簡易施工業者、洗車屋なのか一貫性がない店、量販店とは異なりますので台数限定となります。

ジムニーシエラの話に戻しますが、実は電話でのお問い合わせ(仮予約)から、実際の入庫時にはチョットしたアクシデントがありました(車両違い)。その詳細は今回明らかには致しませんが納車日に直接持ち込まれました。お問い合わせからの注意点は下記に御案内をさせていただきます。

【お願い】
◇以前にも同様のお知らせしておりますが再度ご案内致します
新車施工時は出来る限り事前来店をお願い致します。
理由は何点かありますので、宜しくお願い致します。
①ボディコーティングは比較的高額になります、何と比較してとなりますが例えば千円、二千円、数千円とは違います。数万円するものです。高額な買い物ですし慎重にお願いする事とにより事前の説明や御相談も必要かと思います。何も説明は要らないという方はそれはそれで結構です。
②ボディコーティング種、タイプ、御希望等、逆に希望商品が決まっていない、不明な点あるなどの場合、やはり事前の御説明等は必要かと思います。事前の打ち合わせもあれば後々のトラブル回避にも繋がります。施工商品への御理解と御納得を頂き御利用していただきたいというのも大きな理由ですね。
③上記の理由に関係する事ですが、打ち合わせや御相談により予約(仮予約含む)、御見積書を含む確認書類等があります。事前来店時にその様な諸手続等が済んでいれば、御入庫(お預かり)時には短時間で済みます。車両を預けて*2お帰りの際に他の用事なども御予定をされても宜しいかと思います(代車貸出無料)。

④車両情報は出来る限り正しくお伝えください。特にボディカラー、これは正式な名称でなくても結構です。例えば赤、白、黒程度でも大丈夫です。同じ赤でも2種設定があれば、薄い、濃い、メタリックなどとお伝えいただければ結構です。最近流行のツートン仕様であれば屋根が黒なんだけど~などとお伝えください。塗色はこちらで調べる事が出来ますのでご安心下さい。車両情報によりお客様に最適なボディーコーティングを御案内する場合もあります。

※事前来店については特に遠方からのお客様には別途ご案内をする場合が御座います。事情、都合等により事前来店が不可能の場合は別途考慮致しますのでご相談ください。

※事前来店の件、また、簡単に予約を取る(軽い気持ちや曖昧な態度)などでは最近暖かくなったからは判りませんが、一般的に言う社会常識の最低限のマナーに適合しない方から損害を被る形も頻繁に起こっています。よく検討をされる事をお勧め致します。

御入庫・車両情報

お知らせしている通り新車になります。ボディカラーはスズキさんお馴染みの「ブルーイッシュブラックパール3」【B625M】になります。見たままの印象と判り易く言えばブラック特有の凄みの様な感じは少ないです。これはパール原色にブルー系、ホワイト系を2種による色の表情をが独特という事にもなります。また2コートパールの為に深みや入射角の変化による表情の違いとかは大きく感じません。

ジムニーシエラ 新車施工 入庫時

 

各種洗浄と下準備(トラブル案件)

納車時の車両のぞんざいな扱い

車両お預かり時に、少し気になる部分はありました。

サイドミラーの汚れ

Fウィンドウ下部汚れ詰まり

レインガーターの汚れはサイド~リアまで

ラジエターグリルの水垢、水滴垂れ跡、シミ状

非常に残念です。こういう場合、以降に色々とありそうな何か不測の事態があっても驚かない事としますが・・・納車に対して雑なんですよね。いつも言っていますが私は売る方の立場にもいましたし、少なからずとも、、、
私がいたディーラーではこの様な教えはありませんでした。

作業の始まりとして各種洗浄を行っていきます。
各部分の洗浄内容や詳細は記載しませんが、それよりも先に気づいていた塗面のトラブルの処理をメインに書いていきます。


花粉成分による塗装の不具合

前置きですが花粉、塗装、コーティングの結びつく文面を全て書くと約3万文字以上になるようです(自己の大手自動車販売ディーラー勤務時からの専門職経験値、文献、関連資料等による)。その為一旦書き終えた記事を整理しまして出来る限り短くしました、その為に文中の不自然さなどもある事をご了承下さい。

入庫時の塗面は花粉の浸透による小さな点状、併せて水分が乾燥した際にできるシミによる重症化していました。オプションなのか?特別仕様なのかは判りませんが、私が以前いた販社のほんの一部の人間(専門職)の間では”ダルメシアン柄”と呼んでいました。本来のダルメシアン柄は白地に黒の不規則な斑点模様ですが、例えとしてこの場合反転した”ダルメシアン柄”となります。余計な事を書いてしまっているようですが、見た目が酷い事になっているのは事実です。

ルーフ、ボンネットの花粉による不具合

ルーフ、ボンネットの花粉による不具合

ルーフ、ボンネットの花粉による不具合

ルーフ、ボンネットの花粉による不具合

ルーフとボンネットには全面、無数のシミ状が広がっています。
もう少し画像が欲しかったのですが、参考になる判り易い写真が撮れていませんでした。3枚目の写真の通り一粒(個)のシミと捉える場合、症状が軽いとは思えませんが、実際には作業を行いながら処方していく形となります。

作業開始となります、御存知の方はいらっしゃると思いますがシミ=いきなりの研磨ではほぼ何も変わりません。その為中途半端な知識や荒技ではなく症状に合わせての正しいアプローチが必要になります。

まずは加熱処理となります。基本中の基本で加熱法のみで除去できる場合もありますが、症状のほとんどは他の作業と併用、合わせ技、その後の仕上げ的アプローチや整えるリカバリー作業も必要となります。但し花粉の固着浸透から時間が多く経過しているなど時は加熱、要するに温めても何も変化はしません。

お湯等による加熱

お湯等による加熱

加熱温度

クロスを加熱したい箇所へ敷き、直接お湯をかけていきます。一枚目の画像では平敷ですがコツは一枚を折り返し2枚重ねの様に使うと保温効果が高まります。又はお湯をかけてから更に別のクロスを重ねてあげるのも良い方法と効率的です。一般的なクロスではなくスポンジ系の吸水性クロスも効率が上がります。吸水の特性を生かして熱湯を留める効果があります。今回使用していますが、ルーフ、ボンネットなど範囲が広いので塗面の傾斜部のみ使用しました。判りますよね熱湯が流れない様に工夫をしたという所です。写真が無いので判り易く書くと、「PVA」「セルロース*3などと表記があるものですね。詳細を書くと逸れて行ってしまうので脚注をご覧ください。

二枚目写真は赤丸内に映るは湯気が立っています。湯気も上がらない様では実質的に温度が高くありません。

三枚目写真は30秒経過した頃でも91.5度を計測。温度管理には大変気を取られますし神経を遣う事になります。明らかに軽度、軽症レベルというのであればいきなり熱湯ではなく40~60度位のお湯で試してみる事もあります。
加熱方法にはお湯以外でも可能です、要するに塗面の加熱を行えば良いので遠赤外線ヒーター、ヒートガンなども可能です。但しヒートガンなどはあまりにも小範囲しか加熱が維持できませんのでスポット的に処理修正には有効かもしれません。
それでは何故加熱、温めるのでしょうか?
超簡単に説明すると花粉はカプセルの様な形態です。そして水分を取り込むような性質から膨張して、その後破裂してしまいます。破裂した成分はタンパク質、べクチンは他のサイトやその他で似た事が書いてあるようですが割愛します。このタンパク質が塗装内に浸透すると除去しずらくなります。ここで大事なのは浸透してしまっているのか?比較的塗面上なのか(付着レベル)で対応は変わります。また、そのタンパク質に対しての対応カーケミカル、塗装に於ける性質に対してどの様なものが有効なのかがさらに大事となります。

因みに今回の事例では実際に熱湯加熱では同じ個所(50㎝×80㎝程度範囲)を4~5回(温度降下までの凡そ5分)、又はそれ以上を同作業を繰り返します。一度に範囲を大きくすると的確な温度管理は出来ませんし非効率的な事になってしまいます。ですが、その結果ほとんど何も変化はありません。という事は重症レベルとなります。ほんの数回で変化があればそれはまだ軽症レベルとなります。
という事で、熱湯加熱後にタンパク質に効果があるアルカリクリーナーを塗布~放置~乾き切る寸前で拭き取ります。

アルカリ性クリーナー

熱湯やアルカリ成分で浸透した成分を塗装から抜き取る方法なのです。アルカリクリーナーはどれでも良い訳ではなく、車両塗装用の処方されたものを使用します。そのような適切に処方されたアルカリ性クリーナーはタンパク質を固着浸透したものを軟化させ、包み込むよう、そして再付着を防ぐ効果があります。但し分解能力はほぼありませんので、除去に対しての補助となります。御存知かと思いますが何を使用してもそれは補助、除去するイメージを間違っていれば何も良い結果は起こりません。という訳で熱湯作用とアルカリクリーナーの交互作業、次に動きが見られなければ有機溶剤、化学薬品の出番となります。
どの様なものかの例はシリコンオフ(遅乾性中レベルより下、溶解度は最下位となる、一般の方は何を選んでいいかは難しい)、ピッチクリーナー、他に場合によってはラッカーシンナーなどになります。
※使用にあたっては有機溶剤などは塗装業務などでシリコンオフの何種類もある性質が判る方であれば有利。ラッカーなど、ピッチクリーナーも一斗缶で買っている方レベルでないと危険。市販品の出来合いではその細かい性質までは選択と理解は不可、申し訳ありませんがケミカルというのは自身が効果を求めているものを十分理解をして使用するのです。

※アルカリクリーナーは通常の洗車でも頻度を高く使用するべきです。また、あまり擦らなくても作用があり、ディティーリングの観点からは無用、不要に擦らない=摩擦傷防止の考えもあります。

有機溶剤使用という訳で、何が起こるかというと花粉除去とは別にこの様な新たな不具合が出ます。

保護シートの糊跡

矢印の所が境になります。これは乾いている時には言い方を変えればツートン仕様の様にも見えてしまう事も。見え方もそうですが理論上はこの上にコーティングを行っても定着性は変わる事でしょう。工場→販社への保護シート跡です、このブログを見ている方であれば判るかと思いますが、酷い例ではシートの破片や糊成分の固着などとあからさま状態で納車される場合多数あり。

花粉の除去作業の進行ですが何時間にも及ぶ繰り返し作業となりますが、僅かな変化を感じながら使用するアイテムは同じ繰り返しではなく順番を変えるので、症状により毎回違う事になります。

そして、僅かな変化、動きを察知した所で最終ポリッシャーにより研磨作業で仕上げとなります。研磨した理由はシミの輪郭の僅かな変化があり、花粉成分が抜けたと判断、そしてそのシミ痕も意外と深い、何時間にも及ぶクロスでの拭き上げにより塗面には不要な繊細な傷も入ってしまったからです。

最終研磨により仕上げ

最終研磨により仕上げ

今回の結果から少しまとめてみます。
ボンネット、ルーフの除去作業(通常のコーティング前の下地作業は除く)は計8.5h、各種溶剤使用料は然程多くはなかったですが多種多様の合わせ技。そしてクロスは約80枚程度。因みにクロスは繊維性質上、熱湯とそれが冷めた所で硬く絞りますので繊維が固くなり、ある程度繰り返し使用したら新品に交換します。それにより効率も上がりますし、微細でも傷防止に繋がります。

また余談というか予備知識になりますが新車塗膜の場合、一般的に言う耐スリ系の塗膜の方が塗装が動きやすいので処置効果を早める事もああります。塗装に携わっている方なら判る話となりますが若干の塗装の動きもありますので、時と場合によっては多少有利となる場合もあります。塗装種により作業方法が違う場合があったりもします。

車両(塗装部以外)に何かあっても自己責任、熱湯の注意、有機溶剤などの塗装への悪影響、損傷等も、例えば私が挙げた全ての使用同製品を取りそろえたとしても、車両個別毎に状況は同じという事はありません。そしてその使用法にもいわゆる”やり方””方法””扱い方”などコツもある事です。使用の順番も同じルーティーンではありません。
文章にすると細かいニュアンスは伝わらいかもしれませんが、お勧めは致しませんが御自身でやる方は自己責任です。
目に見えて判りにくい、除去中の変化やケミカル等の成分効果、変な話、一番判り易いのは塗装を傷めてしまった時かもしれません(取り返しのつかない事態の時)これは冗談ではありませんが・・・
※新車時にこの症状(花粉ダメージ)はお客様も悲痛を覚えるでしょうし防御や予防は出来ません。お客様も当然望んではいませんしね。

今年は当ブログでも注意喚起を一度させていただきました。
今回の件は新車納車時に既にダメージを受けていた、一般論で言えば売られた新車が不具合と判断します。
既にご使用されている車両で花粉ダメージの防御について再度注意喚起すると、「花粉は水分を取り込むので付着後に雨や夜露に一度当たったら即洗車」水分ではなくても紫外線でも花粉は反応をするらしいです、どこかの文献で参考に書いてありました。いずれにせよこまめな洗車、花粉は大敵、特に春期は気を付けましょう。一番の防御策はやはり早めに洗う事ですね。

最後に作業終了後の写真になります。
※実際に長時間と集中の為撮った写真が少なかったですね、施工前ボンネットの滅茶苦茶な状態も見て欲しかったのですが残念です。

花粉除去後

花粉除去後

花粉除去後

花粉除去後

ボディコーティング施工

ボディコーティング施工に関してはいつも通り何もありません。

ボディコーティング施工中

ボディコーティング施工中

完成

最後にお客様には大変申し訳ありませんが、全体を総合的に見れば問題があった花粉による重症化には僅かながらリカバリーに不足をする部分があります。目立たない様な仕上がりまでは回復はしたが、何でも直るという訳にはいきません。預かり当日は深夜までの作業、翌朝は5時起きです。寝ずの作業というのも考えましたが3時間程度のみ寝ました(苦笑)・・・不足の部分も大いにありますが、当店で出来る事は全てやらせていただきました。

新車ボディコーティング完成

新車ボディコーティング完成

お客様には折角の新車が大変な事になり憂慮致しました。
諸所の事情や気掛かり等が出るかもしれませんが、まずは御利用を有難う御座いました。

補足

ここまで読んだ方は大変ご苦労様でした。施工者の感(勘)やニュアンスを文字に起こすと難しい所となります。何せ作業中の事や記録として残してあった写真を下に思った事、思っていた事はまさしく枚挙にいとまがないのです。画像付き手順やシークエンスにする事も良かったのかな?と書いていて思いました。
まぁ、記事内容が理解できた方、出来なくても読んでしまった方にはあらためてご苦労様でしたm(__)m

新車施工とは?(注意喚起)
一般的に新車の状態というのは、読んで字の如く”新しい””車(自動車)”という訳で、車両状態が良い訳です。但し、実際にはお客様に渡るまで(納車)に一定の期間や、気象状況、環境などにより多少は汚れたり、不明な傷などもある事も。それらを予測、少々の許容範囲としてコーティング前の下地調整、洗浄を新車ボディコーティング施工料金に含まれています。但し予想をはるかに超える、今回の様に塗装に取り返しのつかない様なダメージを与えている場合などは、別途特別な作業が入ります。
別途という言葉通り、費用も発生してしまいますのでご了承下さい。
一つ付け加えるならば、こういう事態に陥らない様に車両購入時や事前に気を付けてください。買ってはいけないメーカー、販社、要注意店、トラブルが多い店、信頼できるのか等があるのは事実です。また、その判断や実際には納車されないと判らないというのも難しい所ですが・・・

*1:当店では専門的立ち位置から他社で断られた、重施工などを多くいただいております

*2:新車施工はお預かりに1~2日間が目安です、施工内容に御注文数が多いとプラス日数になります

*3:一般的な商品購入時の確認や目安、セルロース70%とコットン30%、ネッティング構造、ハンカチ程度の大きさで約400ml~の吸水性がある