サブタイトルは『16年分の汚れ除去』。経年車の購入後に御依頼いただきました。アルファードはボディ研磨、そしてコーティング施工となります。
中古車を買われたタイミングで御連絡を頂き(納車前)、以後現車を拝見してのお見積りをさせていただきました。
経年車では現車確認によるお見積りが重要になります。それ以前のお問い合わせ時は概算等の目安価格になります。
車両情報
10型後期になりますので、経年数も2023年から遡れば16年が経過。ボディカラーは”ホワイトパールクリスタルシャイン”【070】になります。確かに年数は経っていますが、走行距離数が少なく(年式からは想像できない位)と比較的キレイ(パッと見と全体の印象)です。
パールホワイトでも日陰環境ではしっかり映り込みます。一般的には艶があるなどと表現されます。
入庫時
前項では外板の艶などを述べましたが、16年経過という月日の流れから蓄積された汚れはまた別の話となります。
入庫から各種洗浄がメインになる話となります。ボディサイズが大きいので手間がかかる事が予想されます。
上の写真の様に汚れが溜まっているようです。
各パーツ間、周囲、等を見ればその車両の手入れ状況も判る事でしょう。
また、塗面に関してはガレージ内入庫時に直ぐに確認、
推測ですが洗車機使用かペーパーコーティングか?。
反射角によってはこの様に傷が目立ちます、凄く乱反射していますね。
各種洗浄
まずは下回りから、
そして、高圧スチームの今回の肝は、
矢印の所ですね、ウィンドウガラスとドアベルトモールの間は汚れが固着しています。前もって特殊洗浄剤などの処置はしています、固着した汚れを分解し高圧で飛ばしてしまいます。状況としてはガチガチに固まっていましたし、かなり美観を損ねていましたね。因みに噴射角度は車両に対してほぼ垂直下方に行っています(撮影時の角度とは違います)
細かい作業までは全てを書けませんので、16年分の汚れ固着の除去例を何点か、
まだまだ沢山ありますが、全細部を洗浄*1しての広い塗装面への作業へ移ります。
誰も言ってることなのですが、広い面(塗装パネル)を研磨して綺麗になったとしても、各画像の様に縁取り汚れ模様はあり得ないでしょう。
ヘッドライトリペアのみで持ち込む方、ライトは人間で言えば目に相当すると構成上の話を言いますが、目の周りが黒くては人間ではなくパンダではないでしょうか(笑)。今までハイブリットパンダや高級セダンパンダ、SUVパンダなど沢山のお問い合わせを頂いています。
※参考までにヘッドライトリペアの施工を取りやめた理由にはこの様な件も一つの要因です。それ以前に一部材料の入荷のめどが立たないのが大きな理由ですが。
パンダはどうでも良いとして、目というならば美観や意匠性などに於いてもっと広い目で(視野の広さ)見るべきです。
部分別施工比較を一枚の画像にまとめてしまうとスマホ環境での閲覧では小さく見ずらいかもしれませんね。できる事ならばPC環境をお勧め致します。
研磨作業
今度は広い面のポリッシャーを使用した作業になります。アルファード*2ですからとても面積が大きいですね。
マスキングに於いてはトヨタ車(他車も含む場合あり)ではブラック艶あり部などのパーツは経年数により劣化により表面が脆くなっている場合があります。特に屋外環境でのみの保管車などは10年以上から更に経過すれば注意が必要です。状態により目視でも可能ですが、それ以上に内部から浮き上がるように劣化する場合もあるので、デリケートな部位と捉えています*3。
注意をしながらのマスキング、そして何点か研磨例を。
記事中4枚目の写真の様な状態ですが、
因みに撮影時は面に対して然程角度を付けません(状態が映らないと意味が無いので)。但し研磨時目視角は反射角と入射角を併せて150°程度~を意識しています。言葉だけでは判りづらいが、要するに一般的に言うと照明の入射光輝に対して透かす見方。角度を付ければ付けるほど微細な傷でも確認が出来る*4。当然照明種や他の環境も必要で総合的に整っていなければならない、そしてこの事が仕上がり時に影響するからです。反対に言うと画像では傷と捉えるものはほぼ映っていないが、更に角度を付けた見方にシフトすれば微細なものが存在するという事です。一般的に通常は屋外環境や、太陽光での確認で人間が見えなければ良しとなりますので、傷を全て追う(除去)事は現実的ではないという事です*5。
※この前スマホの照明で傷を確認しようとした人がいましたが、あまりにもその姿勢が神経質、そんな見方と無駄な時間は止めてくれ・・・と思う所です。
150°~の補足ですが、図や画、画像は控えさせていただきます。なぜならば、メディア等で正面近い90°程度からの構えで研磨しているのをイメージされるかと思いますが、違うんだなぁ~、塗面の見方、研磨時の視線、150°~ってほとんど横から見ている様なものです。
その他作業と確認等
サイドバイザー
サイドバイザー*6は推測ですが何か理由が無ければ、新車時に装着されたものが多いでしょう。そうすればやはり車両の経年数と同等の傷みがあるという事です。
施工店などではここにも手を入れる場合は、ペーパーなどでの研磨も行っています。今回は部分的に傷が深く粒度を何回か替えての研磨になりました。
テールランプレンズ
テールレンズ*7も追突事故などを起こして交換などをしていなければ、新車時からのパーツになります。その為、洗車機使用などでは傷も規則的模様で入り、美観も損ねてしまう場合が多々あります。
深い傷は残るが、多くの摩擦傷が減少すればスッキリします。
ヘッドライト劣化状態
レンズは劣化しているのは入庫時に確認しています。
お預かり中に何回か確認しましたが、リペア歴があるようです。いわゆるコーティング剤での保護の為に塗り跡が見えるのですね。透かして見ると塗り筋が残っています。
因みに今回のお預かり時は何も施工は行いません。
注意点
残念ですが今回何も出来ない部分がありました。
↑ 近くに寄ってみてみれば、塗装自体が無数に割れています。何か人間の肌の様に見えてしまうのは私だけ?
指触感は勿論ザラザラです。こうなってくると次に起こる事は剥がれです。お客様には報告しましたが、前後とも傷や凹みがあるので、交換、もしくは補修を検討しているそうです。
ボディコーティング作業
綺麗になった塗面の保護、お手入れ軽減などの目的となりますボディコーティング*8。
完成
パールホワイトの淡色なので効果や変化は画像では判りずらいかもしれません。ですが、サイドパネルの透かしではかなりスッキリしています。また、全体の印象は白さが増した、これは多種の汚れのミルフィーユ状態を一掃した事による効果と捉えます。実は研磨中は感じられませんでしたが、出来上がりから屋外環境での目視で気が付いた次第です。
エンブレム廻りもスッキリ!
ベルトモールもスッキリ!
お客様には遠方から有難う御座いました。以前は他県から何時間もかけて利用されていました。
また、お気遣いいただき有難う御座いました!美味しくいただきました!
ボディコーティング、新車、経年車問わず、御相談をお待ちしております。現状、お待ち頂く事になってしまいます、御予約後からとなりますのでお問い合わせには余裕を持ってお願いしております。
*1:特殊溶剤での反応分解や特殊除去剤を専門的知識の上使用する。特殊性や危険度も高く市販はされていない
*2:大型ミニバンLLサイズ。
*4:照明により傷の埋没が線状に影になる
*5:正面のみでの研磨をアマチュア、施工店などでも見ますが、あらゆる角度から見て研磨するのが正しい。照明機器などの使い方、理論を理解しているからこその専門職
*6:PMMA (Poly Methyl Methacrylate) · 名称ポリメチルメタクリレート樹脂 (ポリメタクリル酸メチル樹脂、一般的呼称はアクリル樹脂と呼ばれる)。
*7:アクリル樹脂素材、アクリル樹脂は紫外線などには比較的強く、劣化などはしにくい。
*8:ボディコーティングには各種タイプがあり。また効果には過大な期待は禁物、しっかり御理解した上、そしてお手入れの補助としては有能、塗装保護に有効